CFC症候群に関するページ

Information about the CFC (Cardio-Facio-Cutaneous) syndrome

[報告] コステロ症候群・CFC 症候群 第 3 回シンポジウム

      2016/09/22

2015/11/15

成育医療研究センター

個人のメモですのでミスや誤記がある可能性をご了承下さい(文責:中村聡史)

14:05 開会にあたって(国立成育医療研究センター 松原洋一先生)

  • この研究プロジェクトのもともとの推進者。2年半前まで東北大学で研究に従事。
  • 東北大学在籍時に世界で初めてCFC症候群の遺伝子を明らかにした。

14:10 研究の進捗状況(東北大学 青木洋子先生):研究の最近の進歩について

ヌーナン症候群類縁疾患(ヌーナン、コステロ、CFC)を統一的に扱う研究プロジェクト

  • 低身長、心疾患などが症状として出やすい
  • 遺伝子的にはHRASはコステロ、BRAF、MAP2K1/2とKRASがCFC
    • 外から核へのシグナル伝達経路の中の1つにRAS/MAPK(HRAS, KRAS, RAF1, BRAF, MEK1/2, ERK1/2)があって、その途中にトラブルが有ることによって症候群が発症する(CFCはKRAS、BRAF、MEK1/2に顕れる)(Rasopathies)
    • CFC、ヌーナン、コステロは少しずつ症候群によって違うけど、RAS/MAPK(ラスマップケー)症候群の1つ。同じ幹の部分にトラブルがある。
  • ヌーナン症候群は欧米では1000〜2500人に一人、日本では2009年時点でヌーナン症候群が553人。コステロが54人、CFCが99人。CFCは増えている(遺伝子検査が可能になったから?)
  • 研究班では原因遺伝子のコステロ原因遺伝子同定が2005、CFC原因遺伝子同定が2006。2013にCFC症候群のモデルマウス作製(心臓の先天性の疾患や体重が増加しないのかなどについて調査。マウスから薬を探る。)、2015に小児慢性疾病に認定。
  • 研究班の目的
    • RAS/MAPK症候群患者さんの遺伝子診断と新しい原因員電子の同定
      • RAS/MAPK症候群の遺伝子は12個。
      • これまでで800件について変異同定が60%、変異なしが40%あり、変異同定は主治医に連絡して報告・診断を検討し、変異なしについては新しい原因を調査。
    • いろいろな症状がなぜ起こるかの調査
      • 症状が起こる原因や、症状の違いが発生する理由についての研究。
      • 症状を和らげるような薬に関する研究(マウスによる研究がそれに繋がる?)
    • 国際ラソパシー会議(RASOPATHIES SYMPOSIUM)2年に1度アメリカで。
      • The 8th CFC International Family Conference: Make a difference!(患者の団体が取り組むイベントが併設)
      • 夜は症候群ごとに部屋がおかれ、研究者と患者の家族が同室に一同に会して夜ごはんを食べる。ダンスやプレゼントなど色々楽しむイベントになっている。
      • CFCに関する情報交換の団体がある。日本がどういう状況かということを気にかけている。国内では松下さんが中心のおでこちゃんクラブ。
    • ほか関連情報
      • コステロ症候群サポートグループ http://costellokis.com/
      • CFCインターナショナル http://www.cfcsyndrome.org/

14:25 摂食・嚥下について(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 川目裕先生)

  • 小児にとっての食事とは
    • 成長/発達を維持するために栄養や水分を摂取すること
    • 食べる・食べさせるということは子育ての中の重要なコミュニケーション
  • 小児の摂食嚥下の特徴
    • 発達過程にある:探す、認識、捕食、咀嚼、嚥下と進む
    • 口や顎、喉などの変化横長から縦長へと変化
  • 摂食嚥下障害の症状(CFC、コステロ、ヌーナンに共通である:Feeling difficulty):研究では100%だった
    • ムセ、咳、喘鳴、チアノーゼ、嘔吐、胃食道逆流症(GERD)、誤嚥性肺炎、体重減少、成長障害、長時間の食事、経口・食事拒否(そもそも座らないなど)
    • 妊娠時羊水過多と診断された理由は、胎児がゴックンができていなかったこと
  • 子供が食べなくてよくある気持ち(色々あるので医療的にサポートが重要)
    • 自分をせめてしまう、体重が増えない・減ることによる焦り
    • 食事の時間、考えることがストレス(かなり大きい)
    • いつか食べてくれるという希望
    • 経管栄養、栄養剤などへの不安
  • 症例ごとの摂食嚥下障害の比率
    • 中でもコステロ症候群は摂食障害がある:新生児期100%、おとなになってから4/17人が胃食道逆流症を発症
    • CFC症候群は75%が哺乳摂食嚥下障害(Myersの調査だと89%)。CFC症候群のガイドライン(摂食嚥下の困難、体重増加不良、便秘、胃食道逆流症、腸回転異常のリスク)、羊水過多が60〜90%。
  • 子供ごとに様子が異なる
    • 3歳に味噌汁に興味を示して嘔吐は軽減、4歳には食卓に座って箸を持つ。スープ、味噌汁、カレーが好き、お魚、味の濃いもの、経管と併用。
    • 食事には集中できずすぐにお腹いっぱいになる。ただ保育園では食べる。
    • 3ヶ月で経管栄養、1歳過ぎにスープで水分。2歳頃に経管が抜ける
  • 摂食障害の要因はまだ不明で、複合的な理由? 色々と調査されている所。
    • 合併症、胃食道逆流症、経験不足、筋緊張低下、発達の遅れ、心理的な拒否、繊細さ(過敏性、1歳ぐらいの頃は特に泣く。これがなくなると摂食が徐々に出来るようになる?)
  • 摂食嚥下障害の対応
    • 全身状態のチェック
      • 身長体重、栄養の評価、年齢別の日本人の縦断的身体発育曲線はあるが、CFCやコステロ症候群の子ども向けではない(海外にはCFCの子の成長曲線はあり、それを参考にする手がある)
      • 合併症、特に呼吸の評価
      • 発達の度合いを調べる(運動発達と同じ形態をとったら良い。どの程度運動発達したから、他の子に比べるとこれくらいができるようになると考え摂食させる)
    • 摂食嚥下外来などで対応
      • 機能の促進
        • 摂食嚥下機能訓練、姿勢、食形態(テクスチャ)、過敏性の除去(マッサージなど、甘いものやアイスクリームを舐めさせるなどで工夫するなど)、食器の工夫
        • 摂食経路の代換。経管栄養
        • 手術的治療:GERD防止術
        • 全身状態の改善
      • 検査
        • ビデオ透視嚥下検査(VF)
        • GERDの評価:pHモニターや上部消化管造影や内視鏡
      • コステロ症候群の摂食に関する文献
        • Management of Genetic Syndromeというのが教科書
        • 年齢とともに食べようとすることや食べることができる。多くは2歳から4歳頃である(本当かどうかは研究があまりないので十分には確認できない)
        • ほとんどが食べられるようになる
        • はじめは濃い味などを好む(カレーや胡椒など。ただ、最初はカレーがいいけど、途中で嫌いになる人もいる)
        • だいたい3〜5歳には経管栄養が終わっている(合併症ありの1名を除く)
      • チームアプローチ
        • 医者やリハビリ担当のみならず、色々な人が関わっていく必要がある(医師、看護師、歯科医、栄養士、言語療法士、理学療法士、作業療法士、心理士、保健師、保育士、教師)。
        • 積極的にお医者さんにこういうことをしたいとお願いすることが重要。
      • おしまいに
        • 多くの子供さんに哺乳、摂食、嚥下の課題ありだが、ゆっくり食べれる、食べるようになる
        • 全身状態が安定したら、摂食に関するリハビリを開始
        • 経管栄養や胃瘻を味方につけて口からの刺激を忘れないように
        • お父さんも一緒に
        • みんなを巻き込んで子育ての知識を共有
        • 楽しい食卓を作っていく

14:50 療育と健康管理について(愛知県心身障害者コロニー中央病院 水野誠司先生)

小児慢性特定疾病情報センター

http://www.shouman.jp/

教育関係者の皆様へという部分があるのが画期的

http://www.shouman.jp/education/

療育とは、まず知るところから始める。子供の特性を理解して、伸びようとしているお頃を見つけ、ストレスが無いように、最も伸びやすい環境と関わりを作る。例えば、言語についていつやったらいいか?は子供によって変わる。

20〜30分は診察室に入るとずっと泣いている。1時間泣きっぱなしで終わることもある。療育とは、そういう風に何もできないことがある。ただ、それではダメと勉強会を実施。最初は泣いているのを抱っこ。その後、泣きながらも遊ぶことはできつつある。泣くけど、少しずつ成長はしていき、6歳でようやく口から食べれるようにも。

CFC・コステロの五感など
  • 触覚: 芝生や砂場でたてない、糊を触れない、手を触られるのが嫌い
  • 聴覚: 大きい音、特定の音を怖がる
  • 味覚: 機能異常がないにもかかわらず経口摂取ができない(口腔嫌悪)
  • その他: 強い不安、睡眠障害(結構な数の人が睡眠障害に悩む)
  • ただ、基本的に人との関わりが好き。小児期以降の社会性は良好。
    • 実際に、数名のお子さんは他者と関わるのが嫌ではなさそうだった。
健康管理
  • 出生前〜出生時: ほぼ標準の体重、頭位は平均以上
  • 出生後: 成長障害(低身長)。標準伸長を目指す必要はない。成長ホルモン分泌不全症例に対してGH補充療法は選択的。
  • 心血管系: コステロ80%、CFC75%。定期的な小児循環器専門医による診察(超音波、心電図)が必須
  • 5歳までは毎年、以上がない場合も数年後とのチェック
  • 成人期の合併症などをどうやっていくかはこれからの課題
  • 筋骨格系: 関節拘縮がある。
  • 皮膚: 薄い頭髪、伸びきらずに抜ける(髪が薄い)、柔らかい皮膚、手や足が柔らかい、ほくろが出来やすい、角質化しやすい(痒くなる)、日に焼けやすい、爪の変形(爪が生えるのが早い) -> 皮膚科で診ていく。皮膚科治療に準じる
  • 眼: 斜視、円錐角膜、眼振のチェック(乳児期)、屈折異常チェック
  • 胃泌尿器系(40%): 人泌尿器系の異常、水腎症、重複尿管、膀胱尿管逆流、停留精巣、無症状でも一度はスクリーニングを
  • 内分泌: CFC症候群では
  • 易腫瘍発生性: リンパ性白血病、非ホジキリンリンパ腫、胚芽腫の発生。ただ、部位が様々であり、コステロに比べて推奨されている定期的なスクリーニングはない。

CFC症候群の健康管理指針(米国小児科学会 2014年8月):フリー

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4179092/

15:15 成育希少疾患の症例登録について(国立成育医療研究センター 深見真紀先生)

  • 患者の登録に関するシステムを実現
  • まれな症例に関するデータベースの実現と診断に関する研究(実態が現状分からないので、日本人患者の病態を解明することが目的):成長曲線についてもこれを使いつつやっていく予定
  • 既存システム:JaSMIn:先天代謝異常症患者登録システム:登録状況713件
  • シンポジウムなど様々な情報を提供するため、研究の推進のため
  • これを発展させて、色々な数がわかっていない症例を対象としている。
  • 疾患情報の把握、将来の成育疾患研究への貢献、情報発信など。
  • 今後数年間かけて患者の情報を収集していく。

15:30 質疑・懇談・おでこちゃんクラブの紹介

辛いことや悲しいことがあるけど、なんとかなるよ!

おでこちゃんクラブは20〜25家族くらいいる。是非参加して欲しい。

 

質問

  • CFCやコステロ症候群の子供向けの縦断的身体発育曲線について日本版も作る予定はないのか?
    • ヌーナンは検討しているけれど、まだCFCは特に検討されていない。検討してみますとのこと。成育希少疾患の症例登録でそういう事が進めばと考えている。
  • 研究者として聞いてみたいのは、情報学の観点で認知科学など人に関する研究をやっているが、そうした立場から何かできることはないか。子どものためにも、この症例のためにも取り組んでみたいと思っている。
    • そこら辺特に考えることができていない。そういう意味で、何かできることがあれば連絡下さい。

色々と情報交換会

  • おでこちゃんクラブは1年毎のそれぞれの子供の成長を見ることができるところがとてもよいところ。是非参加するべき。
  • 笑顔は、2〜4歳で現れたりするなど人それぞれ。こちょこちょして無理やり笑わせたりなども。笑うと褒めるから、笑ってばっかりのお子さんも。
  • 点頭てんかんで筋肉注射などをするとその間は笑顔が出にくい? ただ、終わった後は笑顔が出ている
  • など

16:00 閉会の挨拶(東北大学 青木洋子先生)

集合写真撮影して終わり

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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